Game Sense(ゲームセンス)

Game Sense(ゲームセンス)

みなさん、こんにちは。

バイタルストレングスの藤野です。

今回は近年、コーチング現場で注目されている指導法の1つであるGame Sense(ゲームセンス)についてご紹介させて頂きたいと思います。

 

ゲームセンスとは、スキル、テクニック、戦術のような別個の構成要素に焦点を当てた従来のドリル練習ではなく、ゲーム自体に焦点を置き選手の学習を促すコーチングのことを指します。

 

このゲームセンスは、ゲームをプレーすることで生じる戦術的知識、スキル実行、意思決定をゲームをプレーする過程で学習するという全体論的観点という学習をベースにしており、ゲームセンスを用いて行われる学習はModified Game(修正したゲーム)やゲームライク(練習等で試合を意識した動きや考え)な練習内で生じます。

 

従来の練習方法では、まずゲーム内で起こるスキルを単独にドリル練習として実行する場合が多いかと思います。例えば、サッカーであればゲームの中で行われるパスやシュートのスキルを取り出してきて、パスやシュートのみに焦点を当てたドリル練習が行われるのが一般的かと思います。

 

そのような練習法とは対象的にゲームセンスでは、ゲームに制限やルールを設け修正したゲーム(Modified Game)を通してスキルを学習します。つまり、よくデザインされたゲームセンスの練習は単にゲームをプレーするというわけではなく、戦術、戦略、テクニックをゲームを通して学ぶことができるということです。

 

また、ゲームセンスを実施している際のコーチの役割は、ゲームの中でアスリートが考え、問題解決をし、柔軟なスキルの発達ができるように促す役割をもっています。

ゲームセンスを実施することで得られる利点は、ゲーム中のテクニックやスキルを向上させられるだけでなく、どのような状況でどのようなスキルやテクニックを使うのかといった状況判断や、今置かれている状況を試合と同様に把握する認知能力の向上なども挙げられます。

このような状況判断や認知能力はどのようなスポーツにおいても重要な要素であり、そのような強化を行えるのもゲームセンスの利点かと思います。

 

またゲームセンスは上記にある通り、コーチがアスリートの学習を促進する立場にあるため、指導の際に発問や会話をアスリートと多くとる傾向にあります。そのためチーム全体での相互作用が多くなり、テクニックやスキルの向上のみでなく、チーム全体の協調性の向上も可能です。

 

以上、ゲームセンスについて説明してきましたが、ドリル練習が悪いというのではなく、ドリル練習とゲームセンスを組み合わせて行うことが重要かと思います。

また、ただ単にゲームを行うのではなく、しっかりと学習させたいスキルや内容を明確にし、それに合わせた制限やルールを用いて、そのチームのレベルに合わせたゲームセンスを実行することが重要です。

 

ゲームセンスには本来、プログレッションを用意して臨むのが一般的で、あまりレベルの高くないチームに合わせたゲームセンスから徐々に制限やルールを変更しレベルアップさせていきます。

 

以下にテニスにおけるゲームセンスの例を載せますので、参考までにご覧ください。

  例 テニス

今回は、ゲームセンスについて書かせて頂きましたが、ストレングス&コンディショニングコーチであっても、競技スポーツのコーチがどのような手法を用いてコーチングを行っているのかを知ることは、それに合わせたフィールドトレーニングやウェイトトレーニングプログラムを作成するために重要なことであると思います。

さまざまなスポーツに関わることが多いS&Cコーチだからこそ、多様なスポーツにおいてどのようにコーチングがなされているか、少しでも理解しておくことが大事かもしれません。

 

藤野

 .

2015年06月30日