Game Senseを用いて外側のカバーディフェンス

Game Senseを用いて外側のカバーディフェンス

こんにちは。

バイタルストレングスの藤野です。

 

第1回から続けて投稿しているGame Senseを用いたラグビーコーチングをニュージーランドラグビー協会が提供している資料をもとに書いているブログの第3回になります。

 

前回はGame Senseを用いて中盤での効果的なアタックを導入する資料を提示しました。

 

今回はGame Senseを用いて外側のカバーディフェンスを学ぶという記事をご紹介したいと思います。

 

効果的に外側のカバーディフェンスを学ぶには意思決定が重要であり、成功のためには、いかにチームがグループとして一つの動きができるか、それに加えてテクニックも必要とする高度な戦術です。

Game Senseのシナリオはバックラインを敵のバックラインと対面させた状態、もしくはバックスとフォワードが入り乱れディフェンスをしているフェーズから始めるのがよいでしょう。

ディフェンスの数が少なく、ワイドアタッカーがディフェンスラインの最後の選手にアタックをかけるシチュエーションを作る必要があります。

 

Step 1: Play a Game(ゲームをする)

アタック側は22mラインから開始し、得点はアウトサイドのみ有効とする。

ディフェンスにとってはワイドにディフェンスをする難しいシチュエーションを用意します。

アタック側にはキックを禁止し、パスとサポートの動きで得点をするよう指示します。またアタック側に最初のパサー(走ることができずパスのみ可能)を用意し、5人のアタックする選手を用意します。

ディフェンス側は4人のディフェンダーを用意します。

アタック側は、それぞれのサイドにアタックを仕掛け、計2回のアタックを行います。

22mラインの15m内側から開始し、オープンサイドでプレーします。

 

Step 2: Tactical Feedback(戦術的なフィードバック)

このセクションの、おおまかな内容は前回のブログの内容とかぶりますが、選手たちや他のスタッフとディスカッションをし、なにを違うようにできるか話し合います。

特に、ディフェンスラインの最後の選手に、なぜアタックの選手を止めることができたのか、もしくは止めることができなかったのか聞くと良いでしょう。

 

・「彼の内側でどのようなことが起こっているのか?」

・「良い意思決定を行うために内側で何が起こっているか知るためには、どうしたらいいか?」

・「ディフェンス側の選手がマークしている選手がパスをした場合、なにをするべきなのか?」

・「なにが起こっているのか、何に対して意思決定を行うのかをどのように知るか?」

・「4人のディフェンダーが一つになって動くための鍵となる要素はなにか?」

といったような事象を理解しておく必要があります。

 

コーチは以下のような情報を引き出すようにするよと良いでしょう。

 

ディフェンスは人数が足りていないので、間隔を保って敵に向かい、ボールキャリアがパスを選択した場合、すばやく次のプレイヤーにプレッシャーをかけます。

 

それぞれのディフェンダーはギャップを埋めるため、そして何がインサイド側で起こっているのか知るために、自分のインサイドにいるディフェンダーの近くにいる必要があります。

 

自分の隣にいる選手の前には決して出てはいけません。インサイドのディフェンダーが次のアタッかに向けて加速をするにしたがい、すべてのディフェンダーが息を合わせて、次のアタッカーに向けて動くひつようがあります(ドリフトディフェンス)。

 

ディフェンスラインの最後にいる選手は、インサイド側の選手より、かすかに後ろに構えるために常にインサイドの選手とコミュニケーションを取る必要があります。常にディフェンダーが一体となって動くよう選手に求めることが必要です。

 

コーチは、敵がパスをしてもすぐにアウトサイドに加速できるように、ディフェンダーは肩を内側に向けないようにするというアドバイスをあげると良いでしょう。

 

一度、コンセプトが理解されると選手により複雑なゲームを実施させることもできるでしょう。より高度な意思決定をディフェンス側に求めるためにアタック側の人数を増やすという選択肢をとるということもできます。

 

コーチが5-4と述べたら、5人がアタック側に入り、4人がディフェンス側に入り、選手はコーンを回ってラインを作り、レシーバーがパスを受けて開始するようなドリル練習は鍵となる要素を思い出させつつウォーミングアップにもなる効果的な練習です。

 

そこからゲームは10 v6/7もしくは12 v 8/9というように発展させていくと良いでしょう。

 

Step 3: Skills Feedback(スキルフィードバック)

選手にコンセプトが理解されていることが確認できたらフルコンタクトの練習を導入する必要があります。

 

その上で、どのようなタックルが必要かディスカッションを行います。ボールをリカバリーする上での決まりごとと、練習が必要なスキルについて話し合いを行います。

 

ゲームが導入されるにつれてコーチはアタック側とディフェンス側の両方に以下のような質問をすると良いでしょう。

 

・「自分が内側のタックラーにコミットしていることを確認するためには、なにをする必要があるか?」

・「ディフェンスが薄い状態でボールをアウトサイドで手に入れた場合、どのようなフォームが最適か?」

・「最後の選手を1 v 1で圧倒するためには何のスキルが必要か?」

・「もしもディフェンスの数がアタックの数より多い場合どうするか?」

・「自分たちのウィングがタックルされた場合、その後にはどこにスペースができるか?そしてどうリカバーするか?」

・「ドリフトディフェンスをどう止めるか?」

・「もし自分がラックから出た最初の選手であるとしたら、まず最初にどこにディフェンスに行くか?」

 

ディフェンス側は、ボールがワイドにパスされ展開されている状態で効果的な意思決定を行うことは必要不可欠であるが、往々にして選手は何をするべきか理解していない場合があります。

あるいは練習が必要であるシチュエーションであるにも関わらず、意思決定が必要なシチュエーションで練習が行えていない場合が多くみられます。

 

上記のように質問を行い、コンセプトを理解させ意思決定が必要な環境をコーチが提供してあげることで、より効果的な意思決定を学習することができるのではないでしょうか。

 

2016年07月18日