ナショナルコーチングカンファレンス

ナショナルコーチングカンファレンス

ナショナルコーチングカンファレンス

6月18日から6月20日の日程でワシントンD.C.で開催されたNational Coaching Conferenceに参加しました。

National Coaching Conferenceはアメリカオリンピック委員会やNational Strength and Conditioning Associationなどの共催によって開催されるコーチングや教育に関するカンファレンスです。

今回、そのカンファレンスの中でいくつかのセッションに参加しました。その中で興味深いと感じた内容のものを紹介したいと思います。

コーチが関わるべきはスポーツのみならず、環境設定まで

このカンファレンスの主な内容は効果的なコーチングのあり方と、コーチとしてどのように成長するのかということでした。

効果的なコーチはどのような要素を備えているかという内容のセッションでは、4Csという考え方が紹介されていました。
4CsとはCompetence(有能感)、Confidence(自信)、Connection(関係性)、そしてCharacter(人間性)を指し、コーチとしてアスリートに上記の様な能力を与えられるコーチこそ有能なコーチであるという考え方です。

この考え方では、技術やスキルを学習するのは学習者自身(アスリート)であり、コーチや教授者とは学習を「させる」ことはできないという構成主義的な立場を基に考えられたものです。

ではどのようにアスリートに4Csをもたらすのか?

今回のセッションのスピーカーであるCote氏は、スポーツ場面におけるスポーツ参加、人間関係、そして環境設定にコーチが関わることで、4Csが達成可能であると述べていました。

つまりコーチが、積極的なスポーツ参加を促したり、良好な人間関係を築く努力をしたり、それらに関わる環境設定に手を加えることで達成可能であるということです。

コーチとしてアスリートに一方的に伝えるだけではなく、アスリートが自ら進んで学習を行えるような環境設定を行ってあげることが重要であり、S&Cコーチにおいても同様のことが言えるのではないでしょうか。

コーチの成長においてメンターは不可欠

またS&Cコーチとしてどのように成長するのが理想なのかというセッションにも参加しました。

その中ではメンターの存在、そして内省の重要性が度々語られていました。
メンターとは、優れた助言者やコーチのことを指し、過去の偉大なコーチは例外なく、メンターと呼べる存在がおり、その人を中心としたコミュニティの中で情報の交換や助言をもらうことによって成長をしてきたとのことでした。

メンターのみでなく、多くのコーチと繋がりをもつことは成長のためには必要不可欠であり、
Strength Performance Network(http://strengthperformance.com/)
のようなSNSの利用も推進されていました。

もらった助言を自身に反映したり、自身の行動を高いレベルで振り返る、内省が必要であることも語られていました。

事実、教育の分野にはなりますが、有能な教員とそうでない教員の間には内省の質に差があるという先行研究(佐藤ら、1990)からも、人を教えるエキスパートになるためには、高いレベルの内省が必要であると言えるでしょう。

今回のカンファレンスに参加して、コーチとしてS&Cに関する知識のみでなく、コーチングに関する知識を得ることも大変重要であると改めて実感しました。

なにを教えるかということも重要であるのは当たり前ですが、それと同じくらい「どのように」教えるかということも重要であると思います。実際にアメリカのS&Cにおいても徐々に、自ら進んでトレーニングを学習するような環境(トレーニングを外で行ったり、選手が実施したい種目を特定の中から選択させるなど)を作るコーチも増えつつあるという話もありました。
またメンターの存在や他のコーチとの繋がりなどを考えると、エキスパートになるまでは、フリーで活動するのではなく、尊敬できるコーチがいる場所で一緒に働くということは重要であるように感じます。

バイタルストレングス 藤野.

2014年07月16日