ジャンプ、スプリント力を高めるエクササイズ

ジャンプ、スプリント力を高めるエクササイズ

甲谷です

 

昨年度全日本チームでの行ったジャンプの高さ、ジャンプスピード、一歩のスピードを上げる為のインパルスを上げるエクササイズに付いて書きたいと思います。

 

前回のブログで紹介しましたが、ジャンプの高さ、ジャンプスピード、一歩目のスピード上げる為には4つの要素が有ります。 この4要素が合致した時に高いジャンプ、ジャンプスピード、一歩目のスピードが上がります。 この4要素を引き出す為に昨年度全日本チームでは、セミリフトが中心のプログラミングをしました。

 

4要素が噛み合う為には、地面を出来るだけ強い力で踏み続けインパルスを加える事が必要になります。 逆に一度地面から足が離れればもうどうする事が出来ません。後は重力に従って減速するのみです。 よって地面を出来るだけ、強い力で踏み続ける事が必要になります。

 

ジャンプのメカニズムは、股関節、膝の筋群で地面を踏み込み、踏み込んだ床反力でカーフレイズが始まりさらに床を踏み込みます。 Garhamer はスナッチのセカンドプルからのエネルギー出力は股関節、膝関節、足関節の順で股関節伸筋群が一番出力を発揮している事を示唆しています。

 

テイクオフの最終局面まで一番のエンジン(グルートエンジン:股関節伸筋群)を使う事が要求されると言う事になります。 このグルートエンジンを有効に使う事がジャンプ力、ジャンプスピード、スプリントスピード、一歩目のスピード及びラテラルスピードを向上させる条件になります。

 

1st 、2ndポジションからせっかくバーを加速させても4thポジションで重心が高くなければパフォーマンス向上のトレーニングにはなりませんので、じっくり部分的に強化をしました。 昨年度全日本チームではその成果もあり、全ての選手がワールドカップ5週前までにこのスキルを獲得しました。

 

パワー向上には高重量パワートレーニング(85%Max以上)と低重量パワートレーニング(30−40%Max)両方を行う事が要求されます。 しかし、30−40%Maxでセミリフトを行うには、ウエイトリフター並のかなり高度なスキルが必要になりますので、ワールドカップ前のパワー移行期よりチェーントレーニングをプラスしパワー向上ねらいました。

 

チェーンスクワットのボトムポジションではチェーンが床に有りますので負荷は少なくなります。 しかし、上がってくるとチェーンが持ち上げられ負荷がかかってきます。 それが狙いです。 スクワット時では、股関節、膝関節伸展最後の局面(クリーン、スナッチの3rd—4thポジション位)から段々と上がるにつれて速度が減速しますが、チェーンを使用することにより負荷がかかり床を踏み続ける事が出来きる為、インパルスをさらに加える続ける事が出来きる利点があります。(藤野コーチブログ参照) また写真の様にチェーンを折り束ねて伸展の最後の局面の所でインパルス上がる様にします。

 

以上の様にクリーン、スナッチで高重量パワートレーニング、チェーンスクワットで低重量パワートレーニングを行い最大パワー向上を強化し、スピードストレングス(スターティングストレングス、エクスプロッシブストレングス、リアクティブストレングス)を向上させるプログラミングをしました。

 

ストレングスでは4要素をしっかりと引き出す事が出来る様ように土台をつくり、コンディショニングトレーニングでリニアー、ラテラル、ジャンプ動作の基礎をしっかりと行い、最終的にプレーの中で3次元的に4要素を引き出せる様にする事が鍵になります。

 

4要素の向上を狙ったエクササイズ、またスパイク力、ブロック力に必要なエクササイズの詳細は2月25日のセミナーにてお話しさせて頂きます。

 

(参考文献)

Medicine and Science in Sports and Exercise. Vol. 14. No. 5. Pp. 353-380. 1982.. satellite maps .

2012年02月03日